PoE(Power over Ethernet)とはその名のとおり、イーサネットケーブルを通して電力を運ぶ技術のことです。イーサネットケーブルで、電力を運ぶことにより、AC/DC電源の確保が難しい箇所で使用する機器に電力供給が可能となります。

 

最初のPoE規格では、供給可能な電力が15Wと低かったため、接続される機器や動作にも制限がありました。しかし、現在の規格では、最大90Wの電力供給が可能となり、高機能な監視カメラやスマート照明など、接続可能な機器の種類も、供給電力が増えたことにより大幅に増えています。

 

今回、そのPoE技術に関する、以下の4つについて解説します。

  • PoE最新規格 IEEE802.3btについて
  • PoEの受電側機器PDの構成について
  • オン・セミコンダクター社のPDコントローラ、NCP1096の紹介
  • PDコントローラ周辺デバイスの紹介

PoE最新規格 IEEE802.3btについて

PoEの規格IEEE802.3af/at/btについては、下図のように電力が増えていることが主な特長となります。

最新のIEEE802.3btでは、供給側(PSE)の装置から90Wの電力供給ができ、受電側(PD)側の装置では、最大71.3Wの受電ができます。供給電力と受電電力の間に電力差がある理由は、イーサネットケーブルでの損失を考慮しているためです。

Standard

Maximum Power

Type:

PSE output

PD input

802.3af (PoE)

1

15.4 W

12.95 W

802.3at (PoE+)

2

30 W

25.5 W

802.3bt(PoE++)

3

60W

51W

4

90 W

71.3 W

IEEE802.3afやIEEE802.3atにおいては、イーサネットケーブル内の4ペアのうち、データラインの2ペアに一緒に電力を送るAlternative A方式と、データラインには使用していない予備の空きペアの2ペアを使用して電力を送るAlternative B方式があります。

 

また最新規格のIEEE802.3btにおいては、4ペア全てを使用して電力を送ることにより、高電力の送電を実現しており、4ペア使用することにより、ケーブルでの電力損失を減少しています。

 

さらに下位互換性をもたせる必要があるため、IEEE802.3bt規格準拠の場合、afおよびat規格準拠の機器にも給電可能でなければなりません。

PoE最新規格 IEEE802.3btについて

PoEの受電側機器PDの構成について

受電側(PD)の装置においては、PoEにて電力供給が可能な機器であるかを表示するなど、下図のような構成となっていて、PD側の主な構成部分としては下記3点です。

  • 検出:供給(PSE)側が電力を受けられるPDかどうかを25kΩの抵抗で判断する
  • クラス分け:供給(PSE)側がPD側の要求する電力量の情報を得る
  • パススイッチコントロール:突入電流や供給電流量などを制限する

オン・セミコンダクター社のPDコントローラ、NCP1096の紹介

上記のPD側の構成を可能にするオン・セミコンダクター社のコントローラがNCP1096となります。

NCP1096には下記の特長があります。

  • 新しいIEEE 802.3btに準拠
  • 最大100Wのより高い電力を実現(規格非準拠、独自ハイパワー規格の場合)
  • 低オン抵抗(70mΩ)のパススイッチ内蔵
  • 補助電源検出(AUX)pinによりACアダプタによる電力供給アプリケーションに対応可能
  • TSSOP-16パッケージ

 

オン抵抗が低いパススイッチ内蔵のため、温度上昇を抑えることができます。

オン・セミコンダクター社のPDコントローラ、NCP1096の紹介

PDコントローラ周辺デバイスの紹介

イーサネットケーブルからの電力受電において、下図の通りPD側の構成に、まずはダイオードブリッジが必要となります。

このダイオードブリッジの箇所に、検討可能な製品がFDMQ8205A (4chのMOSFETブリッジ整流器)です。

 

低いオン抵抗のMOSFETで構成しており、従来のダイオードブリッジと比較して、電圧降下による電力損失を減らすことができるため、高効率を実現できます。従来のダイオードブリッジと比べ、消費電力を10分の1程度に抑えることが可能です。

Figure 2. Typical Application of Power Device for IEEE802.3bt Power over Ethernet Standard

オン・セミコンダクター社では、PD側の装置において、上記製品以外に、DC/DCコントローラやダイオードなどの周辺部品のご提案も可能です。また、NCP1096を搭載した評価ボードなどの用意もございます。

 

PoEをご検討されている場合や、上記製品にご興味いただいた場合、またPoEやPD機器についてご質問などございましたら、以下からお問い合わせいただければと思います。

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