新人技術者の脳波測定記 番外編(補足)

はじめに

脳波とは?EEG(イーイージー)とは?何がわかるの?
そんな状況からスタートした新人技術者が実際にEEGをさわってみて感じたことを掲載する”新人技術者の脳波測定記”。

予備知識なしで挑む生の声をお伝えしようと思います。

入力インピーダンスの考え方

”脳波計(EEG)の選び方”にて入力インピーダンスが大きいことにより、接触抵抗の影響度をさえることができると説明致しました。
今回は、脳波から一度離れで電気回路の復習をおこないたいと思います。

電気回路から見た脳波計

電気回路から見た脳波計の模式図は、下記の通りとなります。
脳活動によって活性化された数百万個のニューロン郡が発生させる電気信号が頭皮まで伝搬し、直上に取り付けられた脳波計のセンサーモジュールによって取り込まれる形となります。

R1がニューロンから電極のインピーダンス(固定値+接触インピーダンス)、R2が入力インピーダンス(脳波計内の抵抗)です。

図1.脳波計の電気回路模式図

計算してみよう

中学校でならったオームの法則、合成抵抗を思い出してみましょう。

 

電流 = 電圧 / 抵抗
合成抵抗 = (抵抗1 x  抵抗2) / (抵抗1 +  抵抗2)

でしたね。
では、具体的に当てはめてみましょう。
仮にニューロン郡から発生する電気信号の電位差(基準点と測定点の電位差)が10uVとします。
人体のインピーダンスは約1KΩ、今回は接触抵抗を0Ωとして計算します。
この時点で電極間に流れる電流は、

10uV / 1KΩ = 0.01uA

となります。
仮に、脳波計の入力インピーダンスが10MΩであれば、
合成抵抗は、

(1K x 10M) / (1K + 10M) = 999.9Ω

となり、観測される電圧は、

0.01uA x 999.9Ω = 9.999uV

となり誤差はほとんど生じません。 

図2.入力インピーダンスが大きい場合

では、入力インピーダンスが10KΩ、1KΩの場合同じ計算をしてみましょう。

(1K x 10K) / (1K + 10K) = 909Ω
(1K x 1K) / (1K + 1K) = 500Ω

つまり、観測される電圧は、

入力インピーダンスが10KΩ時:
0.01uA x 909Ω = 9.09uV 

入力インピーダンスが1KΩ時:
0.01uA x 500Ω = 5uV

となります。
入力インピーダンスが小さい場合、誤差が大きくなることを実感頂けたと思います。

図3.入力インピーダンスが10kΩの場合

図4.入力インピーダンスが1kΩの場合

まとめ

結果からご理解頂けると思いますが、

・入力インピーダンスがニューロンから電極のインピーダンス(固定値+接触抵抗)に比べて十分に大きい場合、
 測定誤差が無視できるレベルに低下する
・入力インピーダンスが十分に大きい場合、接触抵抗が多少大きくなっても影響度合いを抑えることができる
・ニューロンから電極のインピーダンスのうち接触抵抗が変数なので、入力インピーダンスを大きくすることができない場合、
 接触抵抗を小さくする努力が必要になる

と言えます。

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