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物流の「荷待ち問題」をテクノロジーで解決するには

はじめに

物流業界の深刻な課題である「荷待ち問題」は、ドライバーの長時間拘束を引き起こし、業界全体の効率性低下や人手不足を深刻化させています。 働き方改革関連法が2024年に施行される中、問題解消は急務です。この記事では、物流業界の深刻な課題である「荷待ち問題」の解決に向けたテクノロジー活用方法をご紹介します。
すぐに導入できて、簡単に使えて、コストパフォーマンスも良いIT機器を活用”すると、どのように「荷待ち時間の削減」が可能となるかを解説します。

物流の「荷待ち時間」の削減が、2024年問題解決の鍵となる

物流の現状と課題

日本の物流業界は、現在、労働力不足と長時間労働という深刻な課題に直面しています。 特に都市部では、ドライバー不足が顕著であり、荷物の配達が遅れるケースや配送スケジュールが過密になる場合が増えています。 こうした状況によって、労働時間がさらに延び、ドライバーの労働環境が大幅に悪化し続けているのが実情です。 この結果、従業員の負担が過剰になり、新たな人材確保や人材定着にも悪影響を及ぼしています。そのような中、自動車の運転業務の時間外労働についても、令和6年(2024年)4月より、年960時間(休日労働含まず)の上限規制が適用され、物流にも大きく影響してきます。(下図参照)

【出典】公益社団法人全日本トラック協会, 第5回働き方改革モニタリング調査について(2023/3)
【出典】ヤマト運輸株式会社,「持続可能な物流の実現に向けた検討会」資料
     物流業界が抱える課題と対応策について(2022/12/13)


このような問題を解決するには、効率化やテクノロジーの活用が重要な鍵となります。 
輸送状況のデータの可視化をおこない、分析活用することで、輸送効率の向上や待機時間削減、生産性の改善が期待されます。 また、物流の全体的なプロセスを可視化し、標準化や自動化を推進することで、無駄を省き、作業を効率的に進めることが可能になります。 このような取り組みを通じて、物流業界全体が抱える課題に対処し、持続可能な成長を目指すことが必須となってきています。
テクノロジーの活用:輸送/保管状態モニタリング・追跡サービス “Macnica Tracks™を活用すると・・・

物流における2時間ルール※、荷主や運送事業者が協力し徹底した取り組みが重要

「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」

物流業界の皆様はご存じだと思いますが、物流において2時間以内に車両の荷役や荷待ちを完了させることを目指す「2時間以内ルール」が設定されています。
このルールは、長時間の荷待ちや荷役による運送効率の低下を防ぐと同時に、トラックドライバーの労働環境を改善することを目的としています。 背景には、ドライバー不足問題や低賃金による物流業界の厳しい実態があり、このルールは労働環境の適正化を図る重要な施策と位置付けられています。 具体的には、2時間以上の待機時間が発生すると、ドライバーの勤務スケジュール全体に影響を及ぼします。 例えば、勤務開始時間の調節が必要になったり、次の配送スケジュールが遅延するケースが考えられます。
これにより、物流効率が著しく低下し、輸送コストの増加やさらなる労働環境の悪化をもたらしてしまう可能性があります。また、関連する法律やガイドラインでも待機時間の削減や適正管理に関する方針が示されており、これを遵守することが業界全体で求められています。
この2時間以内ルールを守ることにより、ドライバーの労働環境改善が期待され、物流体制の効率化、物流業界全体の生産性が向上し、結果的にドライバーの確保や持続可能な労働環境の実現が可能となります。 荷主や運送事業者が協力して、このルールを徹底する取り組みを進めることが重要と言われています。

荷待ち時間の主な発生原因

では、荷待ち時間の主な発生原因はなんでしょうか? 主な原因として挙げられるのは、『物流プロセスにおけるスケジュールの不整合や非効率な管理』です。
これは、輸送業者や物流拠点間での情報共有が不十分な場合、荷物の引き渡しや積み降ろし作業のタイミングにズレが生じることで起こります。
例えば、倉庫側とドライバー間で到着予定時間が明確に共有されていないと、倉庫側が準備不足となり、ドライバーは施設外で数時間待機することになります。また、荷役スペースが不足することもあり、特に出荷・配送が集中するピーク時には待機時間がさらに増加する傾向があります。 このような問題が頻発することで、トラックドライバーの労働環境悪化や物流全体の生産性低下にもつながるのです。その原因を踏まえると、『スムーズな情報共有』することより、待機時間の削減が可能となります。 それには、新しいテクノロジーや適切な管理システムを導入し、スケジュールや物流拠点の状況をリアルタイムで共有する仕組みを整えることで、多くの課題を解決する道が見えてきます。

出典:【国土交通省資料】トラック運送業の現状について(2023年9月20日付) 
出典:【国土交通省資料】トラック運送業の現状について(2023年9月20日付) 

荷待ち時間記録はなぜ必要なのか?

荷待ち時間の記録義務は、効率的な物流管理や法令遵守の面で重要な役割を果たします。 荷物の積み降ろしを待つ時間は、多くの物流現場において全体の効率を大きく左右する要因の1つです。 この時間を適切に記録することで、無駄や問題点を特定し、業務の改善を行うためのデータ基盤を構築することが可能となります。
この時間を正確に記録することで、荷主と運送業者の間で透明性が高まります。 例えば、記録された情報を基に、荷待ちが発生しやすい特定の拠点や荷主を特定し、改善策を講じれば、業務全体の効率向上が期待できます。 さらに、データを活用して標準的な時間を設定することで、適切な見積もりや運送スケジュールの策定が可能となり、物流プロセス全体をスムーズに進行させることができます。

荷待ち時間を把握し、正確に記録することで、業務効率改善につなげる

このように、荷待ち時間の記録は単なる運用上の手間ではなく、物流業界全体の効率的な運営や競争力向上に必要不可欠なプロセスです。 また、労働環境の改善を通じてドライバーの働きやすさを向上させ、労働力不足対応の一助ともなります。 荷待ち時間をしっかりと把握して改善につなげることは、物流業界が抱える課題を解決する鍵であり、持続可能なサプライチェーン構築のために欠かせない取り組みです。

テクノロジー活用による、荷待ち・荷役時間の削減

合理的な対策をするためには “テクノロジー活用” がポイント

物流の荷待ち問題について述べてきましたが、その合理的な解決策としては、テクノロジーの活用がポイントとなります。
輸送状況の可視化や予約受付システムの導入を進め、積載効率を向上させることで持続可能な物流ネットワークを構築しましょう。 例えば、人工知能(AI)を活用した需要予測、最適な配送ルートの策定、待機時間の削減に寄与する仕組みを採用することが解決策の1つとなります。 これにより、荷主と運送業がデータを共有し、連携を強化することが可能になります。 2024年以降も安定した物流の維持のためには、業界全体での連携と継続的な改善が不可欠です。 トラックドライバーの労働環境を向上させるだけでなく、荷主側も企業の社会的責任を果たし、長期的なビジョンを持った物流体制を共に築き上げる取り組みが求められています。 このようなプロセスを通じて、効率化とコンプライアンスが両立した物流の未来を実現していきましょう。

輸送/保管状態モニタリング・追跡サービス “Macnica Tracks™” を活用すると・・・

マクニカでは、IoTモニタリング端末で取得した位置情報やセンサー情報(位置、温湿度、衝撃、落下、開封)を可視化し、簡単に管理できるマクニカのクラウドサービス “Macnica Tracks™” を提供しています。

Macnica Tracks™は、物流業界の荷待ち時間の短縮に活用することが可能です。 このテクノロジーは、リアルタイムでのスケジュール管理や情報共有を強化する機能を持ち、
トラックドライバー、倉庫作業員、荷主の間で効率的な連携を促進する仕組みを提供
します。 こうした仕組みにより、輸送プロセス全体の無駄を大幅に削減し、高い生産性を実現できます。

図1. Macnica Tracks™の機能の一例

配送状況の可視化
Macnica Tracks™を導入すると、各配送案件の配送ステータス(配送開始、遅延中、経由地到着、目的地到着等)を画面上の一覧で可視化することができるので、
入出荷のタイミングをより正確に把握し、現場の業務スケジュールを調整することで、結果として待機時間の大幅削減につながります。

メールでのプッシュ通知
ジオフェンス機能(デバイスで測位した位置情報を使って予め設定したエリアの出入りを検知する機能)を活用し、配送ステータスをメールでリアルタイムに通知することもできるので、事前に到着予定を察知し、貨物到着前に倉庫作業員が荷下ろしの準備をすることなども可能になります。(設定例:目的地1つ前の経由地での配送ステータスを通知するなど)


目的地滞留時間の要因把握(荷待ち、積み下ろし時間の区別)
更には、『既にGPS等でのリアルタイム位置測位を行っているものの、目的地到着後の荷待ち時間と実際の積み下ろしに掛かっている時間の判別ができない!』という課題もお聞きしますが、Macnica Tracks™の照度センサーを使った開封検知機能を活用することで、コンテナの開封を自動で検知し、目的地に滞留している時間の内訳を把握し、精度を高く分析することも可能です。

ドライバーや事務作業者の負担軽減

Macnica Tracks™は、配送状況確認や運転日報などの事務作業の効率化、削減にも活用可能です。 具体的には、今までサプライチェーン間で電話で問合せしていた確認作業も、データでリアルタイムに可視化、共有できるので、問い合わせの手間もなくなります。 更に、記録のためのドライバーの手書き作業も不要となり、事務工数の削減になります。(図2参照)効率的な配送ルートの確保や、突発的な遅延の予防にも寄与し、全体的なサプライチェーンのパフォーマンス向上にもつながります。

図2. Macnica Tracks™ 導入効果例



Macnica Tracks™は、物流現場での効率向上だけでなく、物流コストの最小化にも有効なソリューションとして注目されています。 これにより物流業界が直面する労働力不足や2024年問題への有効な対応策となる可能性を秘めています。 前述の時間短縮による付帯業務の軽減は、ドライバーや作業員の労働環境改善にも大きく貢献します。 こうした最新テクノロジーを取り入れることで、競争力を高めながら、社会全体に向けたよりよいサービスを提供する道を切り開いていく手段の1つとなり得ます。

GPSトラッカーから“Macnica Tracks™”に置換えを検討されるケースも増えてきています

いざ最新テクノロジーを取り入れる、と言っても、モニタリングできる機器は、トラッカー・ロガー・マルチセンシングなどさまざまな種類があります。 位置情報には強いものの温度や衝撃のデータを取得できなかったり、取得できるデータの種類は多いけれどコストが高いといった声も少なくありません。 そのいいとこどりをしたのが、Macnica Tracks™です。

Macnica Tracks™は、各種モニタリング端末と比較しても、優位点が多く(図3参照)、しかも低コストでの導入も可能なため、置換えを検討されるお客様や、まずは実証実験をご希望されるお客様も増えています。また、労務管理等で導入済みのデジタコと併用することで、デジタコの機種を変えるよりも手軽でかつ安価にGDP対応レベルの状態管理ができる点も評価されています。以上のようなメリットから、 荷主様/運送業様どちらからもご興味をいただいております。


まずは、実際のダッシュボード画面を見てみたい
製品について、詳しく聞いてみたい

うちで導入した場合、どういった使い方ができるのか知りたい
実機評価/実証実験をしてみたい
・・・などご希望がありましたら、お気軽にお問い合わせください。



図3. 各種モニタリング端末の項目別比較

Macnica Tracks™の概要

Macnica Tracks™の概要をご紹介します。(写真の端末は “QTS110”)

ダッシュボードの一例:位置情報を常に可視化。アカウントを共有すれば、荷主様、運送業者様の双方にてリアルタイムに共有できます。

さいごに

今回は、物流の2024年問題の1つの要因である「荷待ちの課題」についての記事をご紹介させていただきましたが、その課題の対策としては、テクノロジーの活用が鍵となることがおわかりいただけましたでしょうか?  本記事では、Macnica Tracks™が、貢献できる機能の内、「配送状況可視化、プッシュ通知による事前到着把握、開封検知による滞留時間の要因分析」をメインにご紹介させていただきました。
テクノロジーの導入となると、敷居が高いという印象をお持ちの方も多いと思いますが、Macnica Tracks™は、今回紹介した機能以外にも、物流業界において役立つメリットを色々と持っています。端末を置くだけで、シンプルに使え、導入のしやすいシステムです。 今後、『モノの輸送の管理を効率的に行いたい』、『新たにコールドチェーンの管理を始めたい』という方などに最適です。 コストの面も含め、気になった方はぜひマクニカにお問い合わせください! 

お問い合わせ

本記事でご紹介している、Macnica Tracks™に関するご質問・お見積り・各種ご相談など、以下よりお問い合わせください。

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