I3C とは?I2C 互換の高速・省配線インターフェース
I3C (Improved Inter-Integrated Circuit) は、従来の I2C や SPI の課題を解決するために MIPI アライアンスによって策定された、次世代のシリアル通信インターフェースです。I2C との下位互換性を保ちながら、高速通信・低消費電力・配線の簡素化といった特長を備えています。
従来の I2C では、「通信速度」や「電力効率に制限」がありましたが、I3C では I2C の2線構成を維持しつつ、以下のような改善が図られています。
・高速通信:最大12.5Mbps(SDRモード)やHDRモードによる更なる高速化に対応
・配線の簡素化:クロックとデータの2本線で双方向通信を実現
・低消費電力:プッシュプル駆動方式で不要な電流消費を削減
・インバンド割込み(IBI):専用割込み線なしでデバイス側から通知可能
・動的アドレス割り当て(DAA):バス起動時にデバイスが自動でアドレス取得
・ホットジョイン機能:運用中のバスに新規デバイスを追加可能
・I2Cとの下位互換性:既存のI2Cデバイスと共存可能(I2C デバイスも接続する場合プルアップ抵抗は必要です)
これらの特長により、I3Cは高速・低消費電力かつ柔軟な通信手段を提供し、限られたスペースや電力制約下でも多数のデバイスを効率的に接続できるインターフェースとして注目されています。
NXP 社の I3C 対応製品の特長
NXP 社は、I3C 規格の初期段階から開発に関わっており、業界でもいち早く I3C 対応製品を展開してきたメーカーの一つです。
NXP 社の I3C 製品は、I2C との互換性を保ちながら、I3C の利点を最大限に活かせる設計がなされており、以下のような特長があります。
・高速通信
最大12.5 Mbps(SDRモード)に対応し、従来のI²Cよりも大幅に高速なデータ転送が可能。
・低消費電力設計
プッシュプル駆動方式により、オープンドレイン方式のI²Cに比べて電力効率が向上。
・I²Cとの下位互換性
I3CデバイスはI²Cバス上でも動作可能で、既存のI²Cデバイスとの混在使用が可能。
・インバンド割込み(IBI)対応
割込み用の専用信号線が不要で、バス上でイベント通知が可能。
・動的アドレス割り当て
デバイスの接続時に自動でアドレスを割り当てる機能により、柔軟なシステム構成が可能。
・少線化による設計の簡素化
SPIに比べて必要な信号線が少なく、SoCのピン数や基板配線の削減に貢献。
・多様な製品ラインアップ
・P3S0210BQ:デュアル双方向I3Cスイッチ+電圧レベル変換器
・P3S0200GM:I²C/I3Cマルチプレクサー
・P3T1035/P3T1084:I3C対応温度センサー
・I3Cコントローラーを汎用MCUやハイエンドの i.MX シリーズまで対応
・車載・産業用途にも対応
高信頼性・高耐久性が求められる分野にも適した製品設計。
これらの特長により、NXP 社の I3C 製品は、今後の I3C 導入を検討する設計者にとって、有力な選択肢となり得ます。
NXP 社の I3C 対応製品ラインアップ
NXP 社は、I3C に対応した複数のカテゴリーの製品を展開しており、I3C 導入を検討する設計者にとって、用途に応じた柔軟な選択肢を提供しています。ここでは、代表的なカテゴリーごとに、主な製品とその特長をご紹介します。
スイッチ/マルチプレクサー
I3C バスの柔軟な構成を実現するために、NXP 社は I3C 対応のスイッチやマルチプレクサーを提供しています。これにより、複数のスレーブデバイスを効率的に切り替えたり、バスの分岐構成を柔軟に設計できます
■代表的製品
・P3S0210BQ:2:1 マルチプレクサー、I3C/I2C 両対応、低オン抵抗設計
・P3S0200GM:双方向スイッチ、I3C/I2C互換、低リーク電流
P3S0210BQ
P3S0200GM
温度センサー
I3C 対応の温度センサーは、システムの熱管理を効率化し、複数のセンサーを 1本のバスで集約する構成を可能にします。I2C との互換性もあり、既存システムへの段階的な導入にも適しています。
■代表的製品
・P3T1035:±0.5℃精度、WLCSP4パッケージ
・P3T1084:±0.4℃精度、WLCSP6パッケージ、アラート機能付き
NXP社の温度センサーは主に一般用途と特定用途に分かれます。
詳しくは以下の記事を参照してください。
MIPI I3C を搭載した マイコンと プロセッサー
NXP 社は、MIPI I3C を内蔵したマイコン(MCU)やi.MX シリーズを多数展開しています。これにより、I3Cを中心としたシステム設計が容易になり、従来のI²Cからの移行もスムーズに行えます
汎用MCUやi.MX RTクロスオーバーMCUから
ハイエンドのi.MXアプリケーション・プロセッサーまで対応
左図に示したマイコン/プロセッサーファミリーは殆ど I3C コントローラーを内蔵している
この図は MCX A14/A15ファミリーのブロック図
I3C が活きるアプリケーション領域
I3C は、高速通信・省配線・低消費電力・I2C 互換性といった特長を活かし、さまざまな分野での活用が期待されています。特に、I/O 数の制約や電力効率が求められるシステムにおいて、I3C は有効な選択肢となります。
主な活用シーン
・ モバイル・ウェアラブル機器
限られたスペースと電力制約の中で、多数のセンサーや周辺機器を接続する必要
活用例:スマートフォンの加速度センサー、ジャイロ、環境センサーなどの統合通信
・ IoTデバイス
低消費電力と少ピン設計が求められる小型・バッテリー駆動のデバイスに最適
活用例:スマートホーム機器、環境モニタリングセンサー、ウェアラブルヘルスデバイス
・ 車載システム(Automotive)
信頼性と高速通信が求められる車載ネットワークにおいて、I3Cはセンサー統合に有効
活用例:ADAS(先進運転支援システム)、車内環境センサー、バッテリーマネジメント
・ 産業機器・FA(Factory Automation)
ノイズ耐性と高速通信が必要な環境で、I3Cは信頼性の高い通信を提供
活用例:ロボットのセンサー群、環境制御装置、予知保全用センサネットワーク
・ 医療機器
高精度センサーと低消費電力通信が求められる医療機器に適している
活用例:ポータブル診断機器、患者モニタリングシステム、バイタルセンサー
・ サーバー・データセンター
多数のセンサや管理デバイスを効率的に接続する必要がある
活用例:温度・電圧・ファン制御センサー、BMC(Baseboard Management Controller)との通信
このように、I3C は次世代の組込みシステムやインフラ機器における通信の最適化に貢献する技術として、今後の普及が期待されています。
評価ボード/開発ソフトウェア
NXP社では I3C の設計をすぐに開発できる環境を揃えています。
開発ソフトウェア
◦MCUXpresso IDE
(フリー開発ツール、Eclipsベース)
◦MCUXpresso SDK (サンプルコードなど)
- Linux 用 I3C HCI ドライバー
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