
Cato Networks
ケイトネットワークス
Cato移行時のIP競合対策とネットワーク統合
企業がM&Aやグループ会社の統合を進める中で、複数のWAN環境を持つことはよくあります。これに伴い、Catoへの移行を考えた際に直面するのが「IPアドレスの競合」です。特に、異なる拠点やグループ企業間で同じIPレンジを使用している場合、通信に制約がかかり、ネットワーク管理が複雑化する可能性があります。
本記事では、IPレンジが競合しているネットワークにおいて、Catoを活用して統合する際の手法について詳しく解説します。
IP競合しているときの対応方法は?
NATするか、IPアドレッシングで調整する
複数のWAN環境を持つ企業がCatoに移行する際、IPアドレス競合の問題に直面することがよくあります。このような場合、解決方法としては、主にNATを活用する方法と、IPアドレッシングの整理を行う方法の2つがあります。
それぞれの方法には一長一短があり、短期的な解決を目指すのであればNATを活用し、長期的な安定運用を目指すのであればIPアドレッシングを整理することが良いでしょう。
【NATの場合】NATする場所により2パターンあります
1. Cato の SRT(Static Range Translation)機能を使用する
CatoのStatic Range Translation (SRT)機能を活用して、IP競合を解決する方法があります。SRTを使用すると、拠点間で重複するIPアドレスをそのまま維持し、拠点間通信時に異なるIPを適用することができます。これにより、IP競合を回避することができます。

メリット
- 簡単にIP競合を回避できる。
- Catoの管理画面上で設定・管理ができ、手間が少ない。
デメリット
- BGPとの併用ができないため、経路制御が必要な場合に制限が生じる。
- WAN回復機能(WAN Recoveryなど)や、特定のプロトコル(DNS、FTP、SIP)の使用に制約がある。
2. 拠点内のL3スイッチ等でNATを実施する
もう一つの方法として、拠点内のL3スイッチ等でNATを実施し、内部のIPアドレスを変換して変換後のネットワークアドレスをCatoへ登録方法があります。この方法では、CatoのSRT機能を使用しないため、SRTのデメリットを回避することができます。

メリット
- SRTの制約(BGP制限やWAN回復機能の無効化)を回避できる。
- 柔軟なNATルールを適用できるため、拠点の要件に合わせた設定が可能。
デメリット
- L3機器の追加設定が必要で、運用がやや複雑になる。
- L3機器の負荷が増加する可能性があるため、パフォーマンスの確認が必要。
【IPアドレッシングの整理】こちらが推奨となります
NATを活用する方法は、短期的な解決策として有効ですが、長期的な運用を考えると、IPアドレッシングの整理が推奨される方法です。
IPアドレス体系を見直し、競合を根本的に解消することで、将来のネットワーク拡張を容易にし、管理の複雑化を防ぐことができます。
メリット
- ネットワークが簡素化され、トラブルシューティングが容易になる。
- 拡張性を確保し、将来的な変更にも柔軟に対応できる。
デメリット
- 既存ネットワークの変更が必要であり、移行コストが発生する。
- ネットワーク全体の見直しが必要で、計画的な整理が求められる。

まとめ
IP競合を解決するための主な方法は、NATを活用するか、IPアドレッシングを整理することです。短期的にはNATを活用することで即効性がありますが、長期的にはIPアドレッシングの整理を行うことが推奨されます。
NATの選択肢には、Cato PoPでのSRTや拠点内NATがありますが、それぞれにメリットとデメリットがあるため、運用環境や要件に合わせて最適な方法を選択することが重要です。
最終的には、IPアドレッシングの整理が最も安定した運用を実現し、将来的な拡張性やセキュリティ向上にも寄与するため、可能であればこの方法を優先的に選択することをお勧めします。
お問い合わせ・資料請求
株式会社マクニカ Cato Networks 担当
- TEL:045-476-2010
- E-mail:cato-sales@macnica.co.jp
平日 9:00~17:00