【2014年 7月】 アルバのInstant APは導入・運用が容易。小規模な拠点に最適。

アルバのInstant APは導入・運用が容易。 小規模な拠点に最適。

ご挨拶

記:株式会社マクニカ ネットワークス カンパニー 前田 真克

かつて、弊社LANchBOXonline にて2004年秋より2007年春まで11回わたり「無線LANコラム」を執筆しておりました。今回久しぶりの登場となりました。あれから時を刻んでおりますが、無線LANは、スマートデバイスと言われるスマホ、タブレットの昨今の普及により我々の生活に無くてはならない技術となりました。このコラムは、弊社取り扱いのアルバネットワークス社製品を中心に、無線LAN関連の情報をお伝えしてまいります。本コラムが発信する内容が、企業で無線LAN導入を検討される方や提案をされる方にとって、多少なりともお役立ていただけるようなコラムになればと思っております。

さて、アルバネットワークス社製品というと、無線LANコントローラとアクセスポイント(以下AP)との組み合わせで、大規模なAPを運用するイメージを思われる方が圧倒的に多いと思われますが、中小規模の拠点、またはブランチオフィスがたくさんあるような環境に適した「Instant(インスタント) AP」と呼ばれるソリューションがあります。

Instant APは、その名の通り、すぐに使用できる、手間の掛からないAPです。その特徴は、APに「仮想コントローラ」が内蔵されているので、コントローラレスによるAP同士の連携を実現可能とします。また、Instant AP 同士で、ネットワークのグループを組むことをクラスタと言い、クラスタ内では、複数APの制御・操作を司る「マスター」機と、マスター機の制御下で動作する「スレーブ」機に役割が分担されます。

Instant OS Ver.3.4以降では、クラスタ当たり2,000ユーザまでがサポートされます。(クラスタに IAP-9x が含まれている場合は、 256 ユーザまで)

Instant APのメリット

  • 安価にスモールスタートが可能
  • Instant APは物理的なコントローラを必要としないシステムなので、とても安価です。1台からでも始められます。GUIの画面から、数分で設定が完了します。また、APライセンスが不要です。
  • 仮想コントローラでAPとユーザを一括管理
  • Instant AP上で稼動するプロセスの「仮想コントローラ」が、クラスタ内のAPの設定、ソフトウェアの管理、AP上の通信状況やCPUの使用率など、APの状態を一括管理します。また、無線LANクライアントの接続処理は、各Instant APが分散して処理をしますので、他社にはない連携分散型のユニークな形態です。
     
    例えば、同じセグメントにInstant APを接続すると、自動的に「仮想コントローラ」から設定がコピーされ同期が取られます。また、稼働するInstant OS のバージョンが異なっていれば、OSも同期されます。ただし、「仮想コントローラ」は、すべてのクライアント情報とAP情報を管理するため、1VLANに接続するInstant APの台数は16台以内に抑えることを推奨しています。
     
    仮に「仮想コントローラ」のマスターのInstant APがダウンした場合は、スレーブのInstant APがマスターへ昇格して、システムを継続させます。
  • 多地点の無線LAN構築に最適
  • APが2, 3台規模の拠点が50ヶ所ある場合、各拠点をInstant APの無線LANで構築するといった使い方が可能です。これまでは無線LANコントローラで集中管理する構成で豊富な実績がありますが、多地点の構成だと、無線LANコントローラの機器とライセンスを考えると安く構築できます。その管理は、オプションのAirWaveを追加することにより、設定や監視の一括管理も可能です。AirWaveについては次回のコラムでご紹介します。
  • コントローラ型APへのマイグレーションもOK
  • Instant APの設定を変更することにより、コントローラ型APへコンバートできます。APの台数が増えたら無線LANコントローラ型のシステムへ移行、「小さく始めて、大きく育てる」といったシステム拡張ができる製品です。

認証サーバ機能も提供

Instant APは、”FAT”と呼ばれている一般の自律型APに比べ、一言では言えない程のとても多機能な製品です。アルバの無線LANコントローラで提供している主要な無線制御(ex. Client Match)機能、ファイアウォール機能、IDS/IDP機能を搭載し、ゲストアクセス向けのWeb認証も提供します。

自律型APにはない(できない)機能としては、企業向け無線LANシステムにおいてセキュリティの標準となったIEEE802.1x認証において、認証サーバとの連携だけでなく、ローカルDBによる終端をすることも可能です。これは認証サーバ要らずで、Instant AP だけでIEEE802.1x認証を実現することが可能になります。

クラスタ内のAP毎で提供するSSIDを設定可能

最新のInstant OS 4.1(2014年7月1日現在)より、AP Zone(以下、ゾーン)という機能が追加されました。この「ゾーン」という機能は、これまで1クラスタ内は同じSSIDしか設定する事が出来なかったInstant APのクラスタですが、特定のInstant APに、SSIDを指定して設定が出来るというものです。

利用シーンとしては、AP設置場所によって、使用するSSIDを使い分ける事ができます。例えば、ゲスト用のサービスを提供しようとする場合、「ロビー」に設置されているAPだけに、ゲストアクセス用のSSID:guestを設定し、「ロビーのみ」にゲストアクセスの使用を限定するといった使い方が可能になります。普段業務で使われるオフィスエリアには、従業員用のSSIDだけにするといった使い分けが可能になります。

インスタントと言いましても多機能なAPですが、「仮想コントローラ」が内蔵されていることにより、

  • 導入: 最初の1台を設定するだけで、その1台がマスターとなります。2台目以降はネットワークに接続されると、自動検出・自動同期

  • 管理: マスター Instant AP上の「仮想コントローラ」のみをWebで管理するだけ

  • 運用: 設定変更、アップグレードもマスター1台を設定するのみ、2台目以降はマスターと同期

  • 故障: 仮想コントローラ」マスターがダウンしても、新規マスターが設定を引き継ぎ

Instant APは導入・運用が容易な製品です。中小規模の拠点や現地にITの専門家が居ない多拠点展開において、コストと運用バランスが取れた最適なソリューションです。

最後に、Instant Training(英語によるコンテンツ)なら、メーカのサイトにて無償で受講できます。興味のある方はぜひアクセスして、Instant APの世界に触れてください。(2015年3月1日現在)

http://www.arubanetworks.com/products/sme/training/instant-training/